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2023-05-01

関東大震災から100年

永山 茂樹(東海大学教員)

 2023年は、関東大震災から100年目です。しかし100年たっても、教訓がまだ活かされていないのです。

 第一に、市民にとっての安全な街づくりという問題です。具体的には、臨海部の津波や浸水対策、交通・電力をはじめとしたインフラの整備、公園や緑地の確保、避難・医療・介護施設などの課題です。

 第二に、朝鮮人や中国人、社会主義者の虐殺のようなヘイトクライムを防ぐという問題です。外国人も安心して暮らせる、持続可能な社会を構築しなければなりません。これは市民の憲法学習・憲法教育の重要な課題であるはずです。

 第三に、大災害時における民主主義的な統治システムの維持です。100年前の東京では、軍による統治(戒厳政治)が当然のことのようにおこなわれました。「緊急事態なら、非民主的で人権抑圧の独裁政治をおこなうことも必要だ」といった乱暴な改憲論に飲み込まれてはいけません。

 100年前と同じ過ちをくりかえさせない・くりかえさないために、わたしは、これらの問題を日本国憲法の観点から考えてみたいとおもいます。そして、軍事に特化した「国家安全保障戦略」(22年12月)とは異なる、市民による、市民のための安全保障戦略をたてる必要があるでしょう。

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