ご報告
去る10月9日(月)に、私たちの「憲法研究者と市民のネットワーク」(「憲法ネット103」)の立ち上げ記者会見とシンポジウム「一緒に考えよう—なんで解散? なんで改憲? 決めるのは私たち!」を、中央大学後楽園キャンパスで行いました。元々周知期間の短い企画の上に、会場の授業の関係などで、開始時刻が15時30分からと、やや遅めの時間の開催となったため、どれだけ市民の皆さんやメディア関係者に来て頂けるか不安でしたが、関心の高い市民の方々に集まって頂くことができ、メディアの方を含め、全部で30名の方の参加を得ることが出来ました。
シンポジウムに先立って行われた記者会見には、朝日新聞、共同通信、週刊金曜日の編集委員や記者さんに来て頂きました。会見の中で、メディア側からは、「憲法ネット103」が目指す「市民との交流は?」といった質問などが出されました。この会見とシンポジウムの様子について、早速に、朝日デジタルに記事が掲載されました(http://digital.asahi.com/articles/ASKB95H5JKB9UTIL010.html )。
シンポジウムのプログラムは以下の通りでした。
司会:石村修、藤野美都子
問題提起者:長峯伸彦「解散権は、総理大臣の”専権事項″ではない」
稲 正樹「選挙における改憲論の提起にどう対応するか」
藤井正希「安倍改憲論の問題性」
植野妙実子「国家緊急権の問題性:コントロールの不能性」
<休 憩>
質疑応答
コメント:根森 健「立憲主義・法の支配」という座標軸から見た「安倍政権と解散」
三輪 隆「支配の正統性の根拠としての憲法」と“壊憲”状況:選挙にどう立ち向かうか
シンポジウムは、15時45分くらいから始まり、途中10分ほどの休憩を挟んで18時過ぎまで2時間半にわたって行われ、熱気に満ちたものになりました。憲法研究者側からの問題提起やコメント(当日用意したパワポ――後に一部補充――のスライドをこの報告の末尾に添付しましたのでご覧ください)に対して、参加したフロアーの市民の方々からは、今回の解散・改憲についての問題性の指摘、日本国憲法の制定過程についての質問や意見、憲法の平和主義・戦力不保持と個人を守るということについての質問や意見、日米安保条約の存在に対する質問や意見などがいろいろと出されました。また、都内に住む参加者からは、自分自身の問題として、野党協力の分裂の中で、今回の選挙が一人の有権者に苦渋の選択を求めるものになっていること、それでも敢えて自分なりに一票を有意味に行使したいと考えていることが述べられたのは印象的でした。
このシンポジウムに参加した女性の方が,「改憲阻止議員1/3確保への危機感がひしひしと伝わり、首相はじめ議員は憲法を知らなすぎるけど、市民に知識を持ってもらうことで対峙しようというコンセプトが明快ないい集会でした。」というブログ記事を寄せて下さいました(https://www.facebook.com/michiko.sugata.3/posts/883786151790084)。
この「憲法研究者と市民のネットワーク」(「憲法ネット103」)をいつ、どのような企画で、ひろくメディアや市民の皆さんに知ってもらえるように立ち上げたらよいか、世話人の間ではいろいろ模索してきました。今回の安倍政権側の大義のないご都合主義の、しかも憲法論的に見て到底許されるものでない臨時国会冒頭の審議抜き解散が、突然起こる中で、時間のない中、何とか、今回のようなかたちで「憲法ネット103」を立ち上げることができました。市民の皆さんとの交流の機会をさらにネット賛同者の憲法研究者と企画して行けたらとの思いを、当日参加した憲法研究者も新たにしたシンポジウムでした。(文責:根森)
資料
◾️立憲主義と国家緊急権(中央大学 植野妙実子 ※禁転載)