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2024-05-01

今年の5月3日―日米安保体制そのものの要否を問う日に

小林 武(沖縄大学客員教授)

 今年の5月3日を、特別の思いをもって迎えようとしています。


 私は、日本国憲法の施行は6歳でしたから、憲法の歩みが人生にそのまま重なります。人間らしく生きようとすることを憲法に支えてもらってきたと同時に、その制定以来やむことのない嵐から憲法を守り抜いたのも国民です。ここには、生き抜いてきた戦後民主主義の力が示されているといえます。


 しかし現在、日本の真の統治者たちは、思慮の浅い現首相を操って、戦後の枠組み、つまりほかならぬ憲法体制の賜物を残りなく取り除き、安保体制に一元化しようとしています。2015年安保法制、そして2022年安保3文書の下で、列島の軍事化が音を立てて進んでいますが、この4月10日の日米首脳会議における共同声明で、軍事同盟を「前例のない高みに到達させた」とするところにまでもってきました。政府は、日米の指揮・統制機能を一体化させて、自衛隊に米軍の指揮権の下で先制攻撃の役割を担わせるという安保体制の質的な大変容を、国民代表議会に諮ることもなく、もたらしたわけです。


 私たちはどうしても戦争を阻止しなければなりません。平和を守るには、憲法こそその砦です。そして今、日米安保、この極端に従属的な軍事同盟を、安保条約自身の手続きで終了させる方向に踏み出さなければならないと考えます。日米安保条約の終了を条約10条にもとづいて米国に通告する政府をつくることは、もとより大事業ですが、今こそこの、日本の真の主権国家としての未来をもたらす、理に適った課題を追究したいと願っている次第です。 

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