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2023-05-01

2023年5月3日憲法記念日に向けて

植野 妙実子(中央大学名誉教授)

 1945年8月14日、日本はポツダム宣言の受諾を決め、連合国に降伏、その占領下であらたな憲法の制定作業が行われ、日本国憲法は1946年11月3日に公布、1947年5月3日に施行されました。

 日本国憲法を「押し付け憲法」と批判する人はいますが、日本国憲法の持つ原則・理念、とりわけ恒久平和主義は、今でも必要とされている素晴らしいものです。とりわけ、ロシアのウクライナへの侵攻が一年以上にわたって続くことを目の当たりにすると、平和のうちに生きることの重要性を感じます。この侵略のもたらす教訓は、「戦争は、始めてはならない」ということです。一度戦争が始まったら、どこを落とし所にして「和平」に向かうのでしょうか。侵略された側からすれば、クリミア半島も含めて、領土奪還というところに至らならなければ納得しないということになるでしょう。またこの侵略戦争が終わっても戦争犯罪が正しく裁かれるのか、そうした疑念も拭いきれません。

 だからこそ、戦争はしてはいけない。日本国憲法前文第二段に定められている「恒久の平和を念願」して、全世界の国民が、ひとしく「平和のうちに生存する権利を有する」、このことの実現に向かって貢献すべきなのです。平和のうちに生存する権利は、人間の基本的な権利です。平和でなければ自由も権利もありません。

 私たちは、日本政府も含めて、平和な世界の構築に向けて、日本国憲法の理念に基づき発信すべき時であるとあらためて思います。

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