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2020-05-01

清水 雅彦(日本体育大学教授)​

 今回の新型コロナウイルス対策に関連して、4月3日に与党側が衆議院の憲法審査会を開いて国会の機能を確保する方策を議論したいと野党側に提案しました。

 具体的には、①憲法56条1項で両議院の議事開催定足数を総議員の3分の1以上の出席としていること、②憲法45条と46条で衆参両議員の任期をそれぞれ4年と6年としていることについて変えたいようです。
 実はこの①は両議院の議事開催の定足数をなくす2012年の自民党「日本国憲法改正草案」56条、②は緊急時に両議院議員の任期に特例を設ける2018年の自民党の緊急事態条項改憲案が提案の背後にあります。両提案とも、あえて改憲をしなくても対応可能なのに、新型コロナウイルス問題を利用して一気に改憲しようとしているのです。今、国会が集中して取り組まなければならないことは、新型コロナウイルス対策であり、改憲ではありません。このような火事場泥棒的な改憲論議を許すわけにはいきません。​

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