toggle
2018-03-02

清水雅彦(日本体育大学教授)「山尾志桜里氏の『立憲的改憲論』の検討」

先の衆議院選挙で無所属当選後、立憲民主党の憲法調査会事務局次長及び衆議院憲法審査会立憲民主会派の委員になり、その後、立憲民主党に入党した山尾志桜里氏。
当選後、積極的に「立憲的改憲論」なる憲法論を展開しています。

 『神奈川新聞』2017年11月9日「時代の正体〈551〉 改憲論議に先手打つ 山尾志桜里氏が語る(下)」
http://www.kanaloco.jp/article/289883

『日経オンライン』2017年11月22日「山尾志桜里議員『自衛権に歯止めかける改憲を』 立憲的手法で“透明人間”を縛る」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071000146/112100013/

 これを読んでいただければわかる通り、改憲をして自衛隊の存在を明記することを前提に議論しているのです。2017年12月20日に自民党憲法改正推進本部で了承された「憲法改正に関する論点取りまとめ」では、自衛隊についてのシビリアンコントロール明記論に触れており、山尾氏の議論と重なってきます。
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136448_1.pdf

ちなみに、立憲民主党が2017年12月7日に決定した「憲法に関する当面の考え方」では、「自衛隊加憲論」には反対としていますし、枝野幸男代表は9条改憲論の対案は現行憲法としています。私たち憲法研究者も9条に基づく対案を提示しています。山尾氏の9条論は対案にはなりませんし、改憲派の土俵に乗った大変危険な議論といえます。

 憲法研究者の対案としてこちらを参考にしてください。

 渡辺治・福祉国家構想研究会編『日米安保と戦争法に代わる選択肢 憲法を実現する平和の構想』(大月書店、2016年)

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b252497.html

タグ:
関連記事