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2018-03-02

清水雅彦(日本体育大学教授)「山尾志桜里氏の憲法裁判所論も問題」

山尾志桜里氏は憲法裁判所設置論も唱えています。運動をしている市民の中にもこの議論を展開する人たちがおられますが、失礼ながら、これは法律の素人的な議論だと思います。
通常裁判所が違憲審査を行う日本のような付随的違憲審査制より、憲法裁判所が違憲審査を行うドイツのような抽象的違憲審査制の方がいいという議論がありますが、前者のアメリカでも違憲判決がよく出ます。それは政権交代があり、裁判官のバランスも比較的取れているからです。憲法上内閣に最高裁裁判官の人事権がある中で、長期自民党政権が続く日本では、どうしても裁判官人事に問題が出てきます。
このような中で日本が憲法裁判所を設置したらどうなるか。現行制度なら3回裁判ができますが、短期間で一発で憲法裁判所が政府行為や法律の合憲判決を出す可能性があります。読売新聞社や維新の会が憲法裁判所設置論を唱えている意図を、山尾氏がわかっていないのではないでしょうか。山尾氏の議論は対案にもならない大変危険な議論といえます。

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