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2020-05-01

小林 武(沖縄大学客員教授)

2020年憲法記念日に寄せて

新型コロナ・ウイルス感染症が猖獗をきわめ、パンデミック状態が宣言されている中で迎えた2020年の憲法記念日は、私たちが憲法をもっていることの意味を格別に深く考える機会となると思います。安倍政権は、特別措置法で手に入れた緊急事態発令権限を行使してこれに対応しようとしていますが、その策はことごとく拙劣です。国民はこれを強く批判しますが、同時に、その多数が緊急事態宣言に賛成を表明しています。これに便乗して、憲法に緊急事態条項を導入する改憲を一気に実現しようとするのが安倍政権と自民党です。その改憲案は、戦争・内乱などの事態を想定し、人権保障を停止して権力を首相に集中させようとするものです。しかしながら、国民が真に求めているのは、コロナ禍に対して、政府が国民から預かった公権力を迅速・有効に行使することであり、独裁政権による強権政治ではありません。憲法が健在であってこそ、国民の英知を結集して正しく緊急事態に対応することが可能となります。未曽有の危機を克服するためにも、憲法を守り抜き、政治に道理をとり戻すことに力を注ぎましょう。

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