「新型コロナウィルス対策に関する憲法研究者有志一同の声明」
2020年 3 月11日、連合会館501会議室にて、新型コロナウイルス対策に関する憲法研究者有志一同の声明 を記者会見いたしました。
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新型コロナウイルス対策に関する憲法研究者有志一同の声明 記者会見
関連資料
・新型コロナウイルス関連対策について(中央大学名誉教授 植野妙実子)
・新型コロナウイルス対策を名目とする特定インフルエンザ等特別措置法改正に反対する憲法研究者声明のための資料(元国際基督教大学 稲正樹)
新型コロナウイルス対策に関する憲法研究者有志一同の声明
私たち憲法研究者有志一同は、市民の生命や健康を守るため、マスク不足の解消や日本国内での検査体制の拡充、経済対策の具体化など、適切で迅速な新型コロナウイルス対策の拡充及び実現に向けて、憲法の意図する仕組みと手続を無視した総理大臣の独断的・場当たり的な緊急の対応ではなく、専門家の意見を踏まえ、あくまで政府(=内閣での合議による)として、さらには国会を通じて全力で取り組むことを要請します。
他方で、新型コロナウイルス対策のために目下画策されている、「緊急事態宣言」を可能とするための新型インフルエンザ等特別措置法 (以下、特措法) の改正については、以下の理由から断固反対します。
確かに、この法律には、すでに市民の自由や権利を大幅に制限することが可能な緊急事態宣言を出すことができる仕組みが取り込まれています。しかしながら、その仕組み自体、国会の関与は限定的で、政府の拡大解釈による適用の危険性もあり、時間をかけてきちんと再検討する必要があります。
特措法に基づく緊急事態宣言は、政府の恣意的判断によって、権力の集中を招き、市民の自由や権利を広範に制限し、市民生活の破綻につながりかねないものです。今、国民の目の前で繰り広げられている新型コロナウイルスへの対応をめぐる政治の混乱をみればわかるように、適切な統治能力を欠いた状況下での拙速な改正は百害あって一利なしというべきものです。
今、緊急に行われるべきことは、特措法改正ではなく、これ以上の感染を防ぐための有効な施策を早急に講ずることです。私たちは、政府および国会に対し、市民の自由や権利を制約する不必要な法律改正を中止し、感染拡大防止のため最大限の努力を行うことを強く要請します。
以上
【賛同者】
足立英郞 (大阪電気通信大学名誉教授)
飯島滋明 (名古屋学院大学)
井口秀作 (愛媛大学)
石川多加子 (金沢大学)
石川裕一郎 (聖学院大学)
石村 修 (専修大学名誉教授)
稲 正樹 (元国際基督教大学)
井端正幸 (沖縄国際大学)
井田洋子 (長崎大学)
植野妙実子 (中央大学名誉教授)
植松健一 (立命館大学)
榎澤幸広 (名古屋学院大学)
岡田健一郎 (高知大学)
奥野恒久 (龍谷大学)
片山 等 (国士舘大学)
上脇博之 (神戸学院大学)
河上暁弘 (広島市立大学)
川畑博昭 (愛知県立大学)
菊地 洋 (岩手大学)
北川善英 (横浜国立大学名誉教授)
木下智史 (関西大学)
君島東彦 (立命館大学)
清末愛砂 (室蘭工業大学)
倉田原志 (立命館大学)
倉持孝司 (南山大学)
小林 武 (沖縄大学客員教授)
小松 浩 (立命館大学)
齋藤和夫 (明星大学)
斉藤小百合 (恵泉女学園大学)
笹沼弘志 (静岡大学)
澤野義一 (大阪経済法科大学)
清水雅彦 (日本体育大学)
鈴木眞澄 (龍谷大学名誉教授)
芹澤 斉 (青山学院大学名誉教授)
髙佐智美 (青山学院大学)
高橋利安 (広島修道大学)
高良沙哉 (沖縄大学)
田島泰彦 (元上智大学教授)
多田一路 (立命館大学)
中川 律 (埼玉大学)
中島茂樹 (立命館大学名誉教授)
長峯信彦 (愛知大学)
永山茂樹 (東海大学)
成澤孝人 (信州大学)
成嶋 隆 (新潟大学名誉教授)
丹羽 徹 (龍谷大学)
根森 健 (東亜大学通信制大学院特任教授)
藤井正希 (群馬大学)
藤野美都子 (福島県立医科大学)
古川 純 (専修大学名誉教授)
前原清隆 (元日本福祉大学教員)
松原幸恵 (山口大学)
水島朝穂 (早稲田大学)
宮井清暢 (富山大学)
三宅裕一郎 (日本福祉大学)
村田尚紀 (関西大学)
本 秀紀 (名古屋大学)
森 英樹 (名古屋大学名誉教授)
安原陽平 (沖縄国際大学)
横尾日出雄 (中京大学)
若尾 典子 (前佛教大学)
和田 進 (神戸大学名誉教授)
渡邊 弘 (鹿児島大学)
2020年 3 月11日12時段階 63名