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2019-01-29

「辺野古新基地建設反対憲法研究者声明」の記者会見(2019.1.24)参加者の発言メモ by 稲正樹

稲正樹(いな・まさき)の発言の概要

 沖縄の辺野古の基地建設は、日本国民全体にとっての問題である。

 とくに、2018年12月10日付けの沖縄弁護士会の「辺野古新基地建設が、沖縄県民にのみ過重な負担を強い、その尊厳を踏みにじるものであることに鑑み、解決に向けた主体的な取り組みを日本国民全体に呼びかけるとともに、政府に対し、沖縄県民の民意を尊重することを求める決議」

http://www.okiben.org/modules/contribution/index.php?page=article&storyid=178

の指摘内容に応えたいと思った。

 1。住民(県民)の民意を一顧だにしない基地建設は、当該地域の住民の意思を踏みにじり、国家権力を闇雲に発動しているという点において、住民自治・団体自治という憲法の地方自治の本旨に反する。

 2。民意を誠実に聞き、民意に応え、政治の基本を決定していくというのが立憲民主制の基本である。現在の安倍内閣は、アメリカ側の歓心を買い、アメリカの国益に沿う形で、沖縄を切り捨てているといわざるを得ない。自己の見解や政治的立場に反する民意を切り捨てて恥じないという政治は、民主制とはほど遠い独裁制ではないか。日本国民全体に対しては、このような政治を認めつづけるのかという問題が提起されている。

 3。今回の12.13の土砂投入は、沖縄の民意に寄り添うという空虚な言葉のもとに断行されている、冷酷な新たな琉球処分であり、沖縄の民意を切り捨てるものだ。日本国憲法は13条で、「すべて国民は、個人として尊重される」と定めている。今回の琉球処分は、「代替基地を沖縄県内に設けることのやむにやまれない理由」について合理的説明がなされないままの基地建設の強行であり、沖縄県民を他の国民と同様に「自主的な人格として平等に尊重」していないことになる。

 4。平和的生存権(恐怖と欠乏から免れ平和に生きる権利)と環境権の侵害の問題。憲法の問題を離れるがecocideがなされている。

 5。この声明には語られていないが、米軍基地を日本全土において自由に設置・管理・運営することをアメリカに認めている地位協定とそのもとの安保条約の問題が、辺野古基地問題の根幹にあるのではないか。アメリカの言うがままに基地建設に邁進する政府の方針を支えている安保条約の問題を、国民的課題として受け止めていくことが必要である。

 6。政府は、北方領土に関わる対露交渉において、2つの島が仮に日本に返還されても米軍基地が建設されない保障や確約をアメリカに求めるつもりであるなどと一部で報道されている。もしそうであるならば、沖縄に米軍基地を置くことの呪縛からも解放されるはずではないか。

 7。そもそも普天間の危険除去のために辺野古に基地を建設するという議論は、普天間を一刻も早く返還させ、辺野古に基地を作る必要はないという沖縄県民の声を聞かないために作り出された虚構の論理だ。

 8。私たちは暴力によって服従させられることを拒否する。軍事的な抑止の道は、軍拡と軍備競争を推進する負の連鎖だ。北東アジアの平和を作り出す努力とともに、平和で豊かな沖縄への道を切り開くための営為を、今後も行っていきたい。宜野湾市役所の前でたった一人でハンストを決行した元山君、ホワイトハウス前でスタンディングをしたカジワラ君たちに続いていきたい。

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