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2025-05-02

2025憲法記念日メッセージ

髙佐智美(青山学院大学)

 魚豊『チ。―地球の運動について―』(全8巻。アニメ版もある)では、地動説を証明しようとする人々が、迫害を恐れ、自由に物言えぬ様子が描かれている。中世という、はるか昔の話であるはずなのに、どうしてこんなに身近に感じられるのか。


 アメリカでは、気候変動やジェンダー、人種、公平性などの分野に対する政府からの研究助成金が大幅に削減され、日本では、2020年の任命拒否問題に端を発した学術会議の法人化法案が強引に進められようとしている。


 日本国憲法は23条で「学問の自由は、これを保障する。」と定めている。『チ。』は、この何の留保もないシンプルな条文の尊さを改めて我々に気づかせてくれるとともに、迫害を受け、道半ばで倒れようとも、後世に自らの研究を繋ぐという希望も力強く描いている。

 
 自由な学問環境を守るために、そしてそれを後世に繋いでいくために、この「憲法ネット103」の場から、他の研究者の方々とともに発信を続けていきたい。 

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