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2017-11-11

第1回 野崎健美さんからのおたより

「この人にここが聞きたい」

様々な憲法問題について、関係者の皆さまはどう思っているのか、どう考えているのかをお聞きして、「交流のひろば」に役立つ情報をお伝えします。

第1回目は、恵庭事件の元被告の野崎健美さんからのおたよりです。

  1. 映画を見て「自衛隊とは何か」を知り、考え、行動しよう
  2. 自衛隊員のみなさまへ
  3. 憲法を武器として~恵庭事件・知られざる50年目の真実~」自主上映会案内

 

 1.映画を見て「自衛隊とは何か」を知り、考え、行動しよう

私達の家庭を壊し、経営を壊していながら、被害補償も、公害対策もしない理不尽な自衛隊に対し、
ときにはジェット機の標的を壊し、時には大砲の前に立って射撃を止め、走行する戦車の前に立ちはだかり追い返しました。またダムに溜まった泥3tを、メディアの見ている前で管理部隊の駐屯地に「返却のために」流し込んだこともありました。

このような行動ができた根拠はなにか。「憲法12条を武器にしたから」でした。

「この憲法に保障される自由並びに権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。」この条文を何度も読んで、憲法12条の持つ意味を頭の中に叩き込み、勇気をもって、不当な自衛隊との闘いに臨んできました。新聞記者と自衛隊員の見ている前で通信線を切ったのは、このままでは傲慢で横暴な自衛隊が約束を守らないと判断し、自衛隊に反省させると同時に世論に訴え、第三者立ち合いのもとで約束を守らせるための手段でした。

その期待を裏切って自衛隊が告訴し、検事が器物損壊罪より重い自衛隊法違反で起訴したとき、想定内の出来事ではありましたが、怒りは倍増しました。

基地公害で家庭が破壊され、牧場の経営も苦境に追い込まれ、演習に抗議し緊急避難をとった被害者は暴力を振るわれ、更に告訴される。検察庁は違憲濃厚な自衛隊法で起訴。裁判で負ければ犯罪人になる。そんなことがこの憲法下で許されてはならない。単に被告無罪だけで済ませてはならない。加害者は自衛隊、それにくみする検察庁は正に国家権力の中枢機関。相手にとって不足はない。合法的に意趣返しをしてやろう。

裁かれるべきは自衛隊と検察庁。何らかの方法で自衛隊には告訴したことを後悔させ、検察庁には起訴したことを後悔させる方法がないかと考え、その方法を探し始めました。

まず自衛隊の実態調べの中で、現場における自衛隊が、横暴で傲慢なだけでなく、公害対策も被害補償もせず、被害者に対し暴力行為を行った実態を明らかにしました。

次に検察庁に対しての戦術を考えました。官庁は「既成概念や慣例」で思考する傾向があるので、私は「原点からの発想」で対抗しようと思いました。議論するとき、「原点を抑えたものが絶対強い」ことを知っていたからでした。そのため弁護人の邪魔にならずに、公判で検察官や自衛隊にいうべき時に言えるような知識を取得するために図書館に通いました。その結果が友人との会話中に気が付いた「違憲の法廷」の論理でした。

それまで違憲の疑いのある法令により起訴された裁判においては、違憲法令かどうかの審査をしてもその場で判断を下さず、事実調べ、論告・求刑・最終弁論という訴訟指揮を行い、最後の判決の段階で起訴法令が違憲かどうかを示すのが慣例となっていました。

私はこの訴訟指揮に異議を申し立てたのです。「自衛隊法が合憲という判断ならともかく、自衛隊法の憲法判断をしないまま事実調べをして、判決段階で違憲と判断した時は、事実調べをした法廷が「違憲の法廷」になる。それは憲法のもとでは許されない」という論理です。

裁判官は、原点からの発想である「違憲の法廷」の論理に対し、「野崎被告人の発言は裁判所としても十分研究しなければならないと思いますけれど、訴訟というものは一つの約束事がある。市民の立場から見ればとんでもないことかもしれないが、その約束事には歴史や伝統があって、裁判所の一つ一つの訴訟行為について疑問を持たれても、説明が不可能なものがあるということで勘弁して頂きたい」とまで言ったものの、被告の発言を研究した結果が「すべての証拠調べ打ち切り」決定という結論だったのです。(この項の下線部分に注目)

ですから裁判所による異例の段階での決定は実質上、「事実調べ取りやめ」でした。

「原点からの発想」が慣例を打ち破った瞬間でした。その後の裁判の展開が、「事実調べ取りやめ」を決定した場合の展開通りだったことからも明らかです。

ではなぜ「事実調べ取りやめ」という決定をしなかったのか。それは裁判所が、被告の主張をそのまま認めたことになり、裁判所の沽券にかかわることになるので、「すべての証拠調べ打ち切り」という形をとったと思われます。然し、異例の突然のこの決定はマスコミだけでなく、裁判関係者さえよく理解できず、今まで支援者の多くも意味が分からなかったと思います。

この決定が実質的「事実取り調べとりやめ」であり、「被告の無罪確定」であると気が付かないために、検事が異議申し立てをしなかったことにあらわれています。

また弁護団が検事に公訴取り下げを要求し、「論告求刑公判で検察官を追い詰める演出」が出来なくなるのではないかと、被告がハラハラさせられたことにもあらわれています。決定直後、誰一人「無罪確定でよかったね」と被告に言ってくれた人がいなかったことからも、裁判関係者が理解できていなかったことがうかがわれます。

そして論告公判における裁判所の訴訟指揮を見ていると、この決定で「論告・求刑が必然的に出来なくなる」ことには気付いていなかったように思われます。

なぜ裁判関係者が気づかなかったか。慣例に沿って考えているからです。「事実調べの次は論告、次は求刑、最終弁論そして判決」という固定概念があるので、「事実調べが無くなれば、当然論告も求刑も出来なくなる」とは考えられないのです。

「自衛隊法の憲法判断なしの事実調べ」に反対した被告は、この決定が被告の主張とどう関係するだろうかと考えていたために、決定の意味「事実取り調べなしは正当性の立証なし、よって論告求刑出来ずの無罪確定」も即座に判断できたのです。

「事実調べ取りやめ」は、結果的に裁判官に踏み絵を踏ませてしまいました。

被告が「事実調べすることに問題あり」と主張した公判で、「違憲法令審査権を発動することをいとわない。憲法判断をする」とした裁判官が2名、「自衛隊の実態調べより事実調べを」と主張した裁判官が一名、それぞれの姿勢が推測できるため、上からの圧力がかかった判決直前には、二人の裁判官は苦悩したことが想像されます。

被告が裁判官を説得して「事実調べを取りやめ」が決定した結果、「論告も出来ず、求刑も出来ずの無罪」となり、検察庁の起訴を完膚なきまでに叩き潰すことができたのです。起訴されれば99.9%有罪となる日本の裁判で、起訴した自衛隊法を被告が逆手にとって裁判官を説得し、不当な検察庁に意趣返しを果たしたのです。

違憲判決は取れなかったとはいえ、思いは果たしました。「事実調べ取りやめ」により被告無罪が確定した結果、まるで原告と被告が入れ替わったかのようになり、裁判は終始「旧軍隊のような傲慢で横暴な自衛隊の実態と自衛隊法が裁かれる」ことになりました。自衛隊は告訴したことを、検察庁は起訴したことを本当に後悔したと思います。

判決が検察庁に与えたショックは本当に大きく、大敗したのに上告すらできないほどでした。

恵庭裁判での自衛隊の実態調べは、弁護団が同じメンバーで構成された長沼裁判の自衛隊違憲判決に大きく貢献しました。最高裁からの圧力により違憲判断回避された恵庭判決は、一審で違憲判決をしたとしても、飛躍上告により最高裁で合憲判決、または判断回避される可能性は大きかったことも考慮しなければなりません。

しかし、あの判決によって、いまだに自衛隊は日陰の存在であり続けているのです。

政府は恵庭事件判決少し前に、目立たないように基地周辺整備法、基地民生安定法を成立させました。基地公害対策や被害補償の法律が以前からあったかのように見せるためでしょう。恵庭事件がなければ、基地公害にかかわる被害補償や公害対策に関わる法律の成立は、まだずっと後になったことでしょう。恵庭裁判は、個人の尊厳、基本的人権,平和に生きる権利を侵す自衛隊並びに検察庁を、事実上被告席に追いやり、完全勝利した裁判でした。その闘いの核は二つです。憲法12条を武器に闘うこと。もう一つは常識や慣例、既成概念に縛られず、原点からの発想に基づく戦略を用いることでした。

私は国民の権利を奪う不当な国家権力との闘いに、その闘い方が応用されるものと思っていました。しかし残念ながらそうはなりませんでした。私は秘密保護法反対に関しては「ツワネ原則で対抗するべき」と主張し、安保法制に対してはリベラル層(当時毎日新聞世論調査で39%)だけでなく、政権支持層・無党派層で安保法制反対者(当時21%)にも呼び掛ける戦略を主張したのですが受け入れられませんでした。選挙結果は申すまでもなく大敗でした。

(この時無関心層の2人に一人、政権支持層の3人に一人は安保法制に反対でした。)

リベラル層だけでは39%、これでは勝てません、政権支持層・無関心層も巻き込めば60%で勝てたのです。新潟県知事選、今回の新潟の衆院選の勝利がそれを示しています。

また 、今回の衆院選で非常に不利な条件下で発足したばかりにもかかわらず、アクセス数が自民党よりもはるかに多かった立憲民主党が、あっという間に野党第一党に躍り出た一方、リベラルを排除した希望の党で、民進党議員経験者以外の候補者が惨敗した結果は、無関心層、保守層を含む多くの国民の期待が、枝野氏の主張する「保守・リベラル」に向いていることを示しています。この層への取り組みの大切さが今回の選挙ではっきりしました。

恵庭の闘いが忘れられていく中、私は「原点からの発想に基づく考えが、いかに強くて大切か」を乳牛の改良でも、その後の会社の経営でも体験しました。牧場再建のために、原点から酪農を考え、原点から日本の乳牛改良を考え、世界に先駆けた独自の改良方針を打ち出し、改良のための人工授精所まで作りましたが、アメリカの誤った改良に盲従する国の方針には勝てず「どちらが正しいかは歴史が証明する」と言明して、夢の無い牧場経営も人工授精所も撤退しました。
それから30年経過した今、世界が「原点からの発想」に基づき提言した私の乳牛改良の正しさを証明し、アメリカ・オランダも誤りを正したのに、世界の中で日本だけが、いまだに間違った改良を続けている哀れな現実を、ブログ「世界が驚く日本の乳牛改良」でご覧ください。

これら体験を通して感じることは、判決直後に恵庭のたたかいを正しく評価し、「原点からの発想による戦略、憲法12条を武器にする闘い」を実行していたら、自衛隊反対運動、秘密保護法・安保法・共謀罪反対運動などの成果は、明らかに違っていたと思います。政権との闘いには、今迄にはない勝つための戦略が必要ではないでしょうか。

恵庭事件で明らかな自衛隊の暴力行為、業務連絡および起訴理由等は、自衛隊が国民の生命財産を守るためどころか、生命財産を侵害して当然としているのです。

裁判後、栗栖統幕議長等の発言を知り本当に驚きました。災害派遣も自衛隊の任務と考えている国民も驚くと思いますが「国民の多くは自衛隊が国民の生命財産を守るものだと思っているが、国民は誤解をしている。自衛隊は、天皇を主体とする国体を守るためにある。自衛隊法3条の任務規定はそれを意味している」というのです。

政府の説明とは全く違う自衛隊高官の説明、自衛隊の実態と自衛隊法3条を問題にして、保守層、無関心層を含めた反対運動をするべきではないでしょうか。

では今、どのような運動が効果ある闘いなのでしょうか。それは、自衛隊員や家族にも関心のある「自衛隊の海外派遣反対」の署名運動を全国的にすることが、最も効果ある改憲反対運動です。署名してくれた人に「これだけは読んでください」と「イラク帰還兵の会の調査『驚くべき自殺者数と理由』『隊内では英雄でも故郷では殺人者い』」
等の活動家用語は使わず、敬意をもって書いたチラシを渡すのです。これが恵庭のたたかいを参考にした「安保法制を逆手にとって、自衛隊加憲反対に政権支持層、無関心層も一緒になって闘える戦略」です。別紙「自衛隊員の皆様へ」を参考にしてください。

2017年11月吉日             野崎健美

 

 

​ 2.自衛隊員のみなさまへ

自衛隊の皆さん、日ごろの訓練、大変お疲れ様です。
災害派遣など国民のために働いている隊員の皆様を見ると頭が下がります。
今日は皆さんの為にお知らせを持ってまいりました。
アメリカ「イラク帰還兵の会」2,015年11月の発表によると、イラク・アフガニスタンから帰還した兵士が、毎日平均22人自ら命を絶っています。
単純計算をすると、1年に約8000人が自殺しているのです。13年間にイラク、アフガニスタンで戦死した兵士約6800人を大幅に上回る驚くべき数です。
なぜこんなに自殺者が多いのか。それは人を殺すことによって、兵士の心や社会性にダメージを与え、自殺の引き金になるのではないかといわれています。
また、誰が敵か味方かわからない状況におかれると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)だけでなく、他人を信頼できず、異常に警戒するようになる等、社会性にも問題を生じるようになるのです。
さらにイラク帰還兵の話によると、戦場では「英雄」として称えられても、帰還して故郷に戻ると「人殺し」との陰口もたたかれるというのです。
自衛隊員の皆さん。いくら任務とはいえ、現地の人を殺したり、戦死者を出したとき、現地の市民が受け入れてくれるでしょうか。
そしてまた、日本の防衛ではないのに人を殺して、日本の市民がそれを受け入れてくれるでしょうか。隊員が日本に帰ってきて普通に暮らせるでしょうか。
自分も家族もすごく嫌な思いをするのが戦争です。
よく考えてみてください。そんな経験をして後悔しても遅いのです。
もう元に戻らないのです。社会に復帰できなくなるのです。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)によりにダメージを受けただけでなく、人を信頼できず、異常な警戒心を持つような人間になってしまった自分を想像できますか。「人殺し」と言われても平気でいられますか。
さらに心配なことがあります。
上官が隊員を横一列に並べ、「海外派遣に行くことを希望する者一歩前へ」と言われ、多くの隊員が一歩前へ出たとき、あなたも一歩前に出ざるをえないでしょう。普段からそういう時には、前へ出るように訓練されているからです。 断ることは現実には難しいことでしょう。でも、もし海外に派遣されたら、イラク帰還兵と同じ体験をする可能性が高いのです。
先程申し上げた毎年8000人も自殺する、イラク帰還兵と同じ苦しみを味わうことになってしまうのです。日本を守るためでないのに、そんな目に合うのが耐えられるでしょうか。あなたのご家族も耐えられるでしょうか。
歴代の自民党政権と違い、安倍政権はそこを考えてはいません。安倍政権は歴代の自民党政権がずっと守ってきた「どんな場合でも最高法規を守る」というルールを破ってまで、世界中どこにでも自衛隊を派遣できるようにしてしまいました。日本を守るためでないのに、その犠牲になるのが自衛隊隊員、あなたたちと家族の皆さんなのです。こんな安倍政権を支持できますか。
では、皆さんの心配を解消する方法はないのでしょうか。
あります。あるのです。解消できる方法が。ただし一つしかありません。
それは、次の衆院選と次の参院選で、安保法制に反対する野党が勝って、議会の多数を占めることになれば、元に戻すことができます。
そうすれば、隊員の皆さんは日本の国の為だけに尽くすことができるようになるのです。安倍政権が暴走し、強行採決したために、この方法しかなくなってしまったのです。この方法以外に,二度と元に戻す方法がありません。
はっきり申し上げましょう。選挙で安保法制に賛成する党が勝てば、隊員の皆さんも家族の皆さんも、先程申し上げた心配と後悔がずっと続くことになるでしょう。なぜなら、安倍政権はアメリカの補給部隊として、自衛隊をどこにでも派遣することを考えているからです。
もう一度言います。皆さんの心配、私たち国民の心配を解消する方法はたった一つだけあります。そしてこの方法以外ありません。よく聞いて下さい。
衆院選、参院選で、野党が勝って多数を占めれば、皆さんの、私達の心配が解消できるのです。
隊員の皆さん、ご家族の皆さん、そのために今度の選挙には、安保法制に反対する野党の推薦する候補に投票してください。

 

3.「憲法を武器として ~恵庭事件 知られざる50年目の真実~」自主上映会 案内

 

  • 上映申し込み先:株式会社タキオンジャパン宛にお願いします
    基本的にFAXかメールでお願いします。
    FAX:03-6712-6341
    inazuka@takionjapan.onamae.jp
    ※問い合わせは、TEL:03-6712-6344 か 090-3576-6644
    担当:稲塚宛に。
  • 上映料:1回上映は50,000円(税込)
    ※2回以上の上映の場合はご相談ください。
  • 上映素材:ブルーレイかDVD
  • 物販:ガイドブック1冊・・・1,080円(税込)
    買取ではなく、委託制ですので、販売できた分をご精算ください。
    卸値は一割引、1冊972円となります。 10冊以上でお申し込み願います。
  • ポスター・チラシ販売
    ポスター(B2) 5枚単位で、1,000円
    チラシ(B5・両面)100枚単位で、400円 でお分けいたします。
  • 支払いは、上映日の翌日(休日の場合は休日明け)にお振り込みください。
    上映料、ガイドブック、ポスター・チラシ代をまとめてお振り込みください。
    ガイドブックの実績は、FAXかメールで連絡願います。
  • 上映素材の受け渡し。
    上映素材は、上映日の1週間前にご指定の場所に送ります。
    送料は、タキオンジャパンが負担いたします。
    上映素材・残ったガイドブックは、上映後の1週間以内にお送り願います。
    なお返送される上映素材・ガイドブックの送料はご負担願います。
  • ご質問がありましたら、何なりとお訊ねください。

株式会社タキオンジャパン

〒150-0011 東京都渋谷区東1-13-1-503

TEL:03-6712-6344 FAX:03-6712-6341

担当:稲塚秀孝 090-3576-6644 inazuka@takionjapan.ona

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